以前、短期間ではあったけど暮らしていたことのある町、Wanganui。
当時私は町外れのとある小学校で「日本の文化を教える」というボランティアをしていた。
ボランティアをしているという意識は私にはなかったけれどね。
でも名ばかりとは言え先生をしつつも収入がなかったわけで
詰まるところそれはボランティアだったなぁと今振り返るわけなのだ。
受け入れてくれた学校としては教育実習生を受け入れるくらいの気持ちでいたのかも。

この町で活動をしたのは3ヶ月。
ここに来る前にも別の場所で半年間同じ活動をしていたのだが
2校目のこちらでの受入れ体制はもっと積極的だった。
そもそも日本の学校と違って教育カリキュラムが曖昧なNZの学校。
1年を通して大体の目標はあるだろうが基本的な授業の内容などは各担任に任されている。
教科書もなく給食もなく掃除の時間もなく体操着もない。
初めてその様子を目の当たりにした時にはかなりのカルチャーショックを受けた。
最初の学校では先生達が
「この時間にうちのクラスの子達6人くらいをあなたのところに送るわね」
と言ってきたのには本気で驚いたのだ。
その時私の頭をよぎったのは
「その間の授業の遅れをその子たちはどうやって取り戻すの?!」ということ。
ところが次第にわかってきた。
そんな風に授業は詰込み式には進まないのだ。
今日は教科書の何ページから何ページまでやります!式の授業方法ではないのだった。
確かにこうやって授業を行っていれば
何かについてじっくり考えたり自分の意見を言ったりする方面が伸びていくはずだ。
日本の教育も私が子供の頃とは変わっているのだろうが
それでも知識を増やすという方針はおそらく変わっていないだろう。
どちらが正しいかとは一概に言えないが
自分の意見を言うのが苦手なのは日本人の性質というだけではなく
やはり教育にも関係があるのだと改めて思わされた。

ともあれそんな風にもう1つの学校では
各先生方の個々のやり方で受け入れてもらっていた私だったが、
ここの学校では多少やり方が異なっていた。
授業の進め方は基本的に同じ。
但しこの時期私を受け入れてくれるということで
学校自体でその学期のカリキュラムに「日本」というテーマを入れてくれていたのだ。
これはそれまでの半年間生徒達とは充分に触れ合ったものの
先生達にはほぼ野放し扱いにされていた私には新鮮な状態。
ここでは各先生達が授業に私を呼んでくれて
その場で求められる内容の話をしたり教室の全員と触れ合える機会が増えたのだ。
もちろんこちらから提案してやらせてもらうこともあったけど。
そして何よりいい経験になったのが、
日本について教えるという役割のない時にでも私をスタッフの1人として扱ってくれたこと。
例えば先生達が数人ずつグループを見る場合も
他のスタッフと同じように私に子供達を割り振ってくれたし
本を読み聞かせるような時でも普通に私に任せてくれた。
私のような外国人にもそういう教育の場?を任せてもらえるの?と最初はびっくりしたが
子供達は素直。
こういうところNever Mind!のNZ式だけど私にはとても嬉しいことだった。

さて、今回誰にも連絡をせずいきなりこの町を訪れた私、
Anneの家に電話することも出来たのだけど実は電話がとっても苦手な臆病者なのだ。
これは英語でに限らず日本語でも(笑) 
とにかくこの際ぶっつけで行っちゃえ!と。
個人の家に行くのは留守の場合ダメージが大きいので学校に行ってしまうことにした。
その学校の先生であったAnneが車で乗せて行ってくれていたので
散歩のつもりで1時間近く歩いたことはあったにせよ、
公共の乗物で自力で向かったことはなかったため
ひとまずバスでの行き方を探すためにインフォメーションセンターへ。
そこで懐かしい学校のある地域、Castlecliffへのバスを確認し
いざ!懐かしのAranui Schoolへ!

バスのドライバーさんにAranui Schoolへ行きたいと告げバスの乗り込む。
何となく見覚えがある景色を眺めつつバスはCastlecliffへ。
バス停で学校への行き方を教えてくれたバスドライバーさんにお礼を言い学校を目指す。

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あ、あった!ここここ!門も変わっていない!

とここまで辿り着いたのだけど・・・。
いやいや私ってば実はとっても小心者なのだ。
何だか不安でたまらないわけです、
あなた誰ですか?って顔をされたらどうしよう。
知っている顔がなかったらどんな風に自己紹介をしよう・・・。
しかも辿り着いた時間が昼休み終了直前。
休み時間が終わると外でクラス毎に並びそれから教室に入るのはこっちの学校では常。
ちょうどその最中で今出て行ったら知っている子がいないとは言え
絶対に皆落ち着いて並ばなくなる・・・。
日本でも変わらないかも知れないけどNZの子達も随分とやんちゃで元気だからね?。

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と言うことでしばしの間こちらからは中の様子が見えるけど
向こうからはこちらが見えない場所を探し待機。(←これって不審者入ってるわね・・・。)
とにかくもう少しだけ待つ。
そして全員が校内に入ったところでドキドキしながら正面玄関へ。
とそこで集まってちょっと相談か何かしていた数人に遭遇。
パッと目があったその人が「あ~~~!!!」と。
いや実際にはあ~!じゃなかったけど(笑) 
そう、そこで最初に会ったのがAnneだったのだ!
それにその感じってちゃんと私を覚えていてくれてる・・・。うるうる。

そしてちょうどそこにいた校長先生のShawnや他の先生にも再会。
私のことを記憶に残していくれている先生が思いの外多くて感動。
名前まで覚えているかは怪しげだったけど(笑) 
Anneは今どこに泊まってるの?と聞いてくれ、家にいらっしゃいと。
そしてAnneの家の前に1ヶ月ほどステイしていたお家のKarenも
夜ご飯食べに来てと誘いに来てくれた。
予想以上の展開に本気で幸せ感倍増♪

とにかく授業が始まっていたのでAnneが終わるまで待つことにした。
ちなみに授業が始まっていても先生達が比較的呑気に教室外にいるのもNZ的(笑)

さて懐かしい外の景色。
私が通っていた2つの学校とも校庭は美しい芝生で
こんなところで勉強したらのびのび育つな~と思う学校だった。
特にこのAranui Schoolは校庭のその先は牧場!
この日もこんな風にすぐそこに馬が草を食むのを眺められた。

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馬の方に近寄って振り返る。
とそこに見えるのは校舎。
空も緑も学校もすごく健康的でしょう?!
これだけで違った人生になりそうよね。

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午後の授業は通常3:00PMに終了。
でもAnneはその後ミーティングがあったり授業の準備があったりで
あがるのは4:00PMくらいのことが多かったので
授業中のAnneにちょっと近くを散歩してくると伝え
懐かしいビーチに出てみることにした。

まずは何かオヤツと飲みものでも買おうと近くのデイリーストアへ。
何だか可愛いよね。
遠くに見えるのが海です。

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とんとんとんっと階段を下りてしばらく行くとWanganuiのビーチ。
大好きなワンガヌイリバーが注ぎ込むビーチだ。
このビーチのすぐ近く(すなわち学校のすぐ近く)に住むKarenに
「ビーチの近くでいいね」と言ったら
「でも真っ黒な砂浜で美しくないわよ。」と言われたことを思い出した。
私はこの黒い砂が輝くのも美しいと思っていたものだけど。
ね?どう思う?

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こちらの海も少々荒れ模様だったようでちょっと波も高め。
寒かったこともあり近くの公園を通り学校に戻ることに。

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海の近くということもあり公園の遊具もこんな感じ。
ちなみに学校がある時間のせいか子供ところか誰もいず(笑) 
ということで1人で遊んでみました。

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どうしようか悩んだけど思い切って来て見てよかった!青
空を眺めつつつくづくそう思った私なのだった。